2023.11.27
手外科・外傷
母指CM関節症
母指CM関節症とは、掴む・握る等の親指の力を必要とする動作においてCM関節に痛みが生じる状態をいう。CM関節はペットボトル開封動作など軸圧が罹りやすく、日常生活において負担を受けやすい部位であるため、関節軟骨の摩耗が起きやすい。進行すると関節が腫れ、亜脱臼して親指の変形がみられる。主な原因はCM関節の酷使や加齢だが、女性の場合はホルモンバランスの変化も影響があるとされている。
初期症状であれば患部を安静にすることが重要で、テーピングや固定装具等によりCM関節にかかる負担を軽減する。固定装具は布製のほかシリコン製のものもあり、装着感や利便性に応じて選択可能である。また、投薬や関節内注射等も有効である。痛みが強く、亜脱臼を伴う高度な関節の変形や、スワンネック変形(親指の白鳥の首変形)が起こっている場合は手術が適応される。関節鏡下による部分切除関節形成術が可能で、傷んだ軟骨や炎症の元である滑膜を切除し緩んだ靱帯を補強するため人工靱帯で修復を行う。