おおさかグローバル整形外科病院 人工関節クリニック
おおさかグローバル整形外科病院「人工関節クリニック」では股・膝関節の変形性関節症や関節リウマチに対して人工関節置換術を施行します。
人工関節置換術を行う場合には、患者さまの年齢、活動性、骨形態、骨質を検討し、最適な人工関節の機種を決定しています。
術前計画には全例でLEXY社3次元CT術前計画支援ソフトを使用しております。
人工股関節では筋肉の間から進入する前方アプローチによる低侵襲な手術を施行しており、2~3週で自宅退院が可能です。また、CTナビゲーションを用いることでより精度の高い人工股関節設置を実現しております。これらの技術を組み合わせることで長期成績が期待でき合併症の後方脱臼を予防できます。
人工膝関節では合併症リスクに問題がなければ希望に応じて同日に両膝手術を行っております。カクテルブロック注射やトラネキサム酸という鎮痛剤、止血剤で疼痛と出血のコントロールを行っているため、両膝同日手術でも輸血を行わずに翌日から離床、リハビリが開始でき3~4週ほどで自宅退院が可能です。片側手術の場合は2~3週ほどで自宅退院可能となります。
股関節、膝関節の痛みの原因と治療法
股関節は骨盤、大腿骨と別々の骨があわさってできています。
膝関節は大腿骨、脛骨(すねの骨)などの骨があわさってできています。
これらの関節表面は「軟骨」に覆われており、衝撃を緩和するクッションのような役割を果たしています。しかし年齢を重ねると「軟骨」はすり減って痛んできます(一般に軟骨の寿命は60年といわれています)。すると骨どうしがじかに接するようになり、痛みや変形が生じるのです(下図、正常関節と変形性股関節症と変形性膝関節症のイメージ、レントゲン)。
主な治療法としてまずは運動と減量があります。運動で足の筋力をあげることは効果的ですが、痛みを伴いますので水中ウォーキングが有効な場合もあります。減量でなかなか体重は減りませんが関節の負荷を減らすのには有効です。また鎮痛剤やヒアルロン酸の注射で一時的に痛みを和らげる薬物療法もあります。
これらの治療が効かなくなった場合、痛みを取る最もよい方法として人工関節手術があります。
手術のタイミングを逃さないで
人工関節の手術に踏み切るタイミングはいつがいいのでしょうか。目安として「階段がとてもつらい」「杖を使って100m歩くのが精いっぱい」「半年間治療をしても痛みがとれない」など日常生活に支障が出ているなら、手術を検討すべきだと思います。望ましいのは少しでも体が元気なうちに手術を受けることです。体の調子が悪くなってきてからでは手術を受けられないこともあります。また膝が曲げられない、股関節が動かしにくくなってきたなど変形が進行してからでは術後のリハビリが大変になる場合があります。(下図、手術に踏み切るタイミングについて)
人工関節置換術について
1.人工股関節
変形した股関節を再建するために1950年台にイギリスで開発され進化を遂げてきました。現在は骨盤側で痛んだ骨を削ってチタン製のカップを設置しその中に軟骨の代わりになるライナー(高分子ポリエチレン)を設置します。
大腿骨側は変形した骨頭を切除して大腿骨の髄腔内にチタン製のステムを設置しその先端に大腿骨頭の代わりになるセラミック骨頭を装着します。
骨盤側(カップ、ライナー)と大腿骨側(ステム、骨頭)を重ね合わすことで手術を終了します。
2.人工膝関節
変形した膝関節を再建するために1950年台にイギリスで開発され進化を遂げてきました。現在は大腿骨側で痛んだ骨を削ってコバルトクロム製の大腿骨インプラントを設置し、脛骨(すねの骨)側で痛んだ骨を削ってコバルトクロム製の脛骨インプラントを設置します。それらの間に軟骨の代わりになるインサート(高分子ポリエチレン)を設置して手術を終了します。変形の状態や疾患によっては膝蓋骨側もインプラント(高分子ポリエチレン)で置換する場合があります。
当院の人工股関節全置換術は
①CT画像を用いた三次元手術計画(LEXY社3次元術前計画支援ソフトを使用)を行います
患者さんごとに適切な人工関節の大きさ、形状、位置などを正確に決定することができます。
②当院ではCTナビゲーション手術(Stryker社CT-based Hip Navigation System)を行っております
CTによる手術計画どおりに人工関節を理想的位置に設置することで長期成績が期待できます。
なた、術後脱臼を予防でき、術後の脚長差も改善します。
*「ナビゲーションシステム」とは;
より正確に人工関節などを体内に設置することができるように支援を行うシステムです。手術前に撮影したCT画像をコンピューター上で三次元構築した上で人工関節の設置位置を精密にプランニングし、手術中も赤外線を使用し、手術器具が現在どの位置にあり計画通りに手術を行うにはどの方向へどのくらい移動すればよいかをコンピュータ-が測定し手術を施行します。このシステムを使用することで、医師はより正確で精度の高い手術を行うことができます。
③前方進入による低侵襲手術を行います
術後の筋力回復が早期で術後脱臼も予防できます。
当院の人工膝関節全置換術は
①CTを用いた三次元手術計画(LEXY社3次元術前計画支援ソフトを使用)を行います
患者さんごとに適切な人工関節の大きさ、形状、位置などを正確に決定することができます。
②同日に両側人工膝関節置換術の施行が可能です(3~4週ほどで自宅退院)
両側同時手術の場合、片側ずつ2回手術するより入院期間が短縮できるメリットがあります。
当院では関節周囲カクテル注射で疼痛コントロールを、トラネキサム酸という止血剤で出血コントロールを行っているため、両側同時手術にも関わらず輸血を行わずに施行できております。
*関節周囲カクテル注射とは;
術中に膝関節周囲の筋肉へ麻酔薬や鎮痛薬、ステロイドなどを混ぜたものを注射する方法です。
硬膜外麻酔と同等の除痛効果がえるうえに、術後しばらくしても炎症を起こしにくくすることができます。