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コラム

2023.06.23 一般 健康コラム

食中毒に注意しましょう【栄養科】

夏場は気温や湿度も上がり、細菌性の食中毒が発生しやすくなります。
正しい知識をもって食中毒を予防しましょう。

 

食中毒の分類

食中毒は原因別に分類すると、細菌性のもの、ウィルス性のもの、自然毒、化学性のもの、寄生虫によるものに分かれます。

発生状況

食中毒は、その原因となる細菌やウィルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。夏場は細菌性の食中毒が多くなるのに対し、低温や空気の乾燥する冬場はウィルス性の食中毒が多く発生します。季節により流行のピークはありますが、どの食中毒も1年中発生はしているため、年間を通して注意は必要です。以前は、カンピロバクターとノロウィルスが食中毒発生件数の大多数を占めていましたが、2013年(平成25年)頃より寄生虫による食中毒が増え、近年では1位になっています。

カンピロバクター

ウシやブタなどの家畜やトリの腸管に生息している細菌で、鶏肉から感染することが最も多いと言われる。潜伏期間(感染して症状が出るまでの時間)は他の食中毒菌に比べて長く 2~7日位と幅があり、主な症状は腹痛・下痢や嘔吐・発熱。

ノロウィルス

非常に強い感染力を持ち、ノロウィルスに汚染された食品(二枚貝など)や感染者が調理したものを口にすることで感染する『経口感染』、感染者の糞便や嘔吐物に直接触れたり、トイレのドアノブ等を介して感染する『接触感染』、感染者の嘔吐物からの飛沫を吸い込むことで感染する『飛沫感染』や『空気感染』がある。感染すると 24時間~48時間の潜伏期間の後、激しい吐き気や嘔吐・下痢・腹痛・発熱などの症状が現れる。

寄生虫

レバーなどの生食や、適切な処理をされていない魚介類などを生で食べることによって感染する。寄生虫には色々な種類があり、近年食中毒の原因として第1位になっているアニサキスは、サケ・タラ・サバ・イカなどを寿司や刺身で生食すると感染することがあり、激しい腹痛や悪寒、嘔吐などを起こす。

 

夏になると、高温多湿な環境により、多くの食品が腐りやすくなります。肉や魚などの食材だけでなく、調理済み食品(ポテトサラダやグラタンなど)や加工食品(ハムやベーコンなど)も腐りやすくなるので注意が必要です。

 

食中毒の予防

①食中毒予防の三原則

1. 細菌を食べ物に『つけない』・・・ 手と調理器具はいつも清潔に
●調理の際は手を洗う
肉や魚、卵の殻を触った後などもこまめに手洗いを
●食品を区別して保管・調理する
肉や魚等はビニール袋や容器に入れ、他の食品にふれないようにする
●包丁・まな板・ふきん等も清潔に
殺菌・消毒を徹底し、生の肉や魚を切った包丁やまな板は洗ってから熱湯をかける

2. 食べ物に付着した細菌を『増やさない』・・・ 食品は素早く調理、早めに食べる
●調理中の食品や残り物を放置しない
室温で長く放置せず、残った食品はすぐ冷えるように小分けして保存する
●食材の温度管理
冷蔵や冷凍が必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる

3. 食べ物や調理器具に付着した細菌を『やっつける』・・・ 中まで加熱、すぐ冷却
●中心部が75℃で1分間以上加熱
ノロウィルスの場合は、85~90℃で90秒以上加熱
●冷蔵は10℃以下、冷凍はマイナス15℃以下で冷却

※ウィルスの場合は、食品中では増えず人の体内で増殖するので、『増やさない』は当てはまりません。ウィルスはごくわずかな汚染でも食中毒を起こすため、調理場にウィルスを『持ち込まない』、食べ物や調理器具にウィルスを『ひろげない』ことが大切です。

 

②二次汚染に注意

二次汚染を起こす経路は主に以下の3つです。

●調理器具(包丁・まな板・ふきん等)
汚染された食材(鮮魚・生肉など)を処理した包丁やまな板で、完成品
(ローストビーフや卵焼き等)を切った場合など
●調理従事者の手指
汚染された食材を取扱った手指の洗浄が不十分なまま、刺身の調理や生野菜の盛付けを行った場合など
●トングや箸の使いまわし
生肉を取扱ったトングや箸で、焼き上がった肉を取り皿に取ったり、生野菜を取り分けた場合など(焼肉店でよく起こる)

 

③寄生虫による食中毒の予防

●食品を十分加熱する
●多くの寄生虫は -20℃以下で48時間以上冷凍することで死滅するため、冷凍食材を使用したり、食材を冷凍保管する
(※寄生虫の種類によっては長期間生存するものもあります)
●サケ、タラ、サバ、イカ、淡水魚のような寄生虫の多い魚介類を生で食べる場合は、鮮度のよいものを選ぶ等、充分に注意する
●野菜にも寄生虫の卵が付着している場合があるため、生で食べる野菜は調理前に流水でよく洗う
●寄生虫の卵などが手指に付着して口に入ることがあるため、生肉・魚介類・卵にさわった後はよく手を洗う

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